2020/6/23、中国北斗衛星の打ち上げが成功した事によって、中国版GPS、北斗衛星測位システムは完成したと発表されました。

GPS以外、世界中利用できる高品質な衛星測位システムは初ですので、その仕組みを紹介したいと思います。

北斗1号時代のやり方

衛星測位システムは、基本、被測位対象と衛生の距離で計算して、位置を推測する仕組みとなります。
例えば、衛星1と被測位対象の距離が1500キロとして、衛星1の半径1500キロの円形に被測位対象があると分かります。加えて、衛星2と被測位対象の距離が2000キロだとして、同じ原理で衛星2の半径2000キロの円形に、被測位対象があると分かります。
2つの衛星の円形の交点を計算することで、被測位対象の位置が分かります。

北斗1号測位の仕組み

上の図は、初版の北斗測位システム、北斗1号の仕組みです。
鋭い方は既に気付いていると思いますが、円の交点が2つあるので、場所はどっち?
2つの測位衛星と地球の距離でできた2つの交点は、一つ目が北半球、もう一つは南半球にあります。初代の北斗測位システムは、基本、中国とその周辺で利用するので、南半球のデータが不要です。第一歩の要件に満たしました。

北半球限定と別に初代の北斗測位システムは、、地球は規則な円形ではないと、高度を図れないので、精度が低いと、飛行機には利用できない弱点があります。

現在の北斗のやり方

2つの衛星での測位結果がいまいちであること分かったので、改善策として、測位衛星を増やして、3つ以上の衛星で測位するようにすることです。

北斗測位の仕組み

上記、平面の図では分かり難いかもしれませんが、3つ以上の衛星を使って、地球の円に頼らず、高度を含めて、正確に測位できるようになります。

北斗測位衛星の距離と時間について

3つ以上の測位衛星を使って、距離が分かれば、正確に測位できるが、どうやって距離を測るのでしょうか?

測位衛星は定期的にカレント時刻のデータを、電波で発信します。
測位対象、北斗測位システムの端末は衛星の電波を受信して、電波の速度と時刻で距離を計算できます。
こちらのポイントとして、時刻の正確さがキモですので、測位衛星は正確な時刻を送信しなくてはならないために、原子時計を使う事と、測位対象となる端末の時刻を使えない事です。
測位衛星の距離が以下の式で計算します

測位衛星電波受信時刻:t(未知)
一発目衛星送信時刻:t1
測位対象と一発目衛星の距離:(t – t1) × c(電波速度)
測位対象の座標:x,y,z(未知)
一発目衛星の座標:x1,y1,z1

式:(t – t1) × c = √((x-x1)2 + (y-y1)2 + (z-z1)2)

未知の値、測位対象の時刻、座標は、上の式で3回以上繰り返して、交点を計算する事で、正確な位置、時刻を分かります。

今まで、測位の機能は、アメリカ製のGPSしかありません。
北斗測位システムはGPSのライバルですので、競争があることは、我々ユーザに有益なわけです。
民間用GPSは実に、敢えて精度を低くされたものであり、競争があることで、民間でも精度の高い測位サービスを利用できると期待できるかと思います。

北斗測位システムの実用化は、特にドローンユーザにとっては、大きなグッドニュースです。